WEBライターが伝授!すぐに実践できる文章力を鍛える5つのコツ
Writer’s Nest(ライターズ・ネスト)代表WEBライターの吉田です。
今回は、文章力を鍛えるために必要なコツについて解説します。
SEOなどを意識しながらWEBライティングする時はもちろん、日々のメール連絡などでも共通して気を付けていることについて解説します。
日々の仕事において取引先に送るメールや報告書のような文章はもちろん、いろいろなシーンにおいて大切になる&すぐに実践できることを意識しています。
特別な練習や準備をせずとも簡単に取り組めるものばかりですので、是非是非一度お読みのうえ、参考にしてみてください。
また、この記事は現にWEBライターとして活動している方はもちろん、WEBに限らず「文章力を鍛えたい」「どうやって文章力を向上させればよいのかがわからない」という気持ちをお持ちの方にお読みいただきたいと思います。
特に、これから
- WEBライターを目指している
- 独学でバリバリWEBライティングできるようになりたい
と考えている方にとっては、かなりメリットのある内容になっています。
もともと私は、WEBライターとして活動し始める以前に、日本語学を少し研究(主専攻は北欧文学)したことがあります。
当時は翻訳などをテーマに、わかりやすい日本語や伝わりやすい日本語の書き方について研究を進めていました。
その中で学びとったことや、これまでWEBライターとしていろいろな経験を積んできた中で気づいたことをまとめています。
いわゆる完全に独学&現役WEBライターが見つけた独自のコツです。
※特に今回は、細かい文章の書き方や文法についての解説ではなく、
「こういう意識をもっておくと良い文章が書けるようになる」
という心がけのようなものを取り上げています。
また、小説や詩を書く際の技巧的なものでもなく、ビジネスや日常において必要とされる文章力であるとお考え下さい。
コツ①:文章のターゲットを明確に意識する
WEBライターの最大の仕事であり使命でもあるのが、「自分の書いた文章を読んでもらう」ということです。
そして、文章を読んでもらうためには、その読み手が確実に存在しなければなりません。
その読み手となる方、つまり”文章を読んでもらうターゲット“を明確に意識することで、書くために必要な情報をうまく整理・収集できます。
それは何のためかと言うと、ターゲットに対して適切な材料を揃えて、的確に内容を伝えるためです。
実は、WEBライティングでもオンラインマーケティングでも、もっと言うならばビジネス全般において、
「ターゲットを想定する」
ということが基本にして非常に大事なポイントになります。
投げかけるべき相手がぼんやりしていては、WEBライターが書く文章も宣伝もぼんやりしてしまいます。
たとえばせっかくセールスライティングを執筆しても、耳障りの良い言葉だけを並べていては、
「どんな商品を誰に買ってもらいたいのがわからない」
ということが起こり得るわけです。
もっと具体的に示すなら、
「このサプリメントは男女問わず10代から80代オーバーまでに効果があり、ダイエットも筋力増強も視力回復も安眠効果もあってめちゃくちゃすごいんです!」
というぼんやりした広告よりは、
「このサプリメントは、毎日のPC作業でお疲れの中、帰宅してからもがんばる駆け出しWEBライターのあなたにピッタリ!」
という広告の方が、ターゲットが具体的すぎるくらい具体的に絞られていることが明確に読み取れます。
そして、ぼんやりした広告を適当に投げかけるよりも、「ターゲットを絞った広告を、ターゲットの目に留まるように投げかける方が効率性が高い」ことは想像に難くないはずです。
広告を目にしたとき、
「ふ~ん、まぁなんだか良さそうかな?」
という他人事的な感想を抱かれるよりも、
「自分のためにあるような商品だ!」
と思ってもらえる方が、購買意欲を促進できると思いませんか。
つまり、もしWEBライティングや広告動画を一生懸命作ったとしても、サービスや商材のターゲットがぼんやりと曖昧なものだとしたら、
- 必要としてくれる人のところに届かない
- 本当は内容がとても良いものであったとしても、購入に至らない
- そもそも存在を見つけてもらえない
というようなことが予想されます。
これは非常にもったいないことですね。
特にWEBライターの仕事としては、「検索ワードから流入してきてくれた読者を想定する」というSEOライティングが多くあります。
SEOやセールスを意識してWEBライティングするとすれば、ターゲットが
- 男性か女性か
- 年齢はいくつくらいなのか
- どんな仕事をしているのか
- どんなことに興味があるのか
- 何が必要とされているのか
- 何を調べたいのか(どんなキーワードで流入してくるか)
ということくらいは最低限意識して執筆することが基本になります。
このWEBライターのメインの仕事ともいえる「SEOライティング」では、検索キーワードを重視し、その人気ワードの組み合わせなどから潜在的な需要を見抜きます。
そうしてターゲットを仮定・想定し、そのターゲットに向けた内容がうまく伝わるように書いていき、google検索などからの流入を増やすことを狙います。
しかし、実はこれはWEBライターやSEOライティングに限った話ではなく、取引先や上司に送るメールなどを作成するときもそれは同じです。
そう考えると、ビジネスメールや社内回覧文書などを書くというのは、ターゲットの想定がしやすく、書きやすいと言えます。
仕事の内容や用語について基礎的な知識は共有できている段階から始まりますし、関係性も明確です。
相手がどんなことを知りたいのか、ということをしっかり意識していれば、説明不足を指摘されるようなことも少なくなります。
文体や言い回しを選ぶのに大切な「思いやり」
ターゲットが明確になったならば、次に大切になるのが、ターゲットに対する「思いやり」です。
詳しく言えば、「ターゲットにしっかりと内容が伝わるような文体・言い回しを使う」
ということです。
実は、この感覚さえ持っていれば、どんなときでも自然とターゲットにうまく伝わる文章を書けるようになります。
これはSEOライティングやビジネスメールなど、すべてに共通して言えることです。
たとえば、私はWEBライターに加えてマンション管理士や消防設備士としても仕事をしています。
いろいろなメールや口頭での会議がありますが、すでに一緒に仕事をしている同僚や取引先に、
- 修繕積立金の取り崩しには総会決議の普通決議が必要なんです
- 消防設備点検は半年に1回の機器点検と1年に1回の総合点検があるんです
というような、基礎的な用語やルールが登場するたびに解説を挟むということはありません。
自分にとっても面倒ですし、わかりきっていることを聞かされる相手も面倒で、何一つ良いことはありません。
※まず時間は有限ですし、これがWEBライターとしての案件であればなおさらです。
SEOライティングや解説記事執筆などの仕事は、やはりコーディングなどに比べると単価が安いことが普通です。
そのため、1つの案件にかける時間をうまく調節していかなければ採算はとれません。
しかし、このような省略や簡潔な内容が許されるのは、すでに一緒の業界で同じ仕事に携わっているという前提があるから可能なことです。
逆に、
- 管理組合の理事になりたて
- マンションを買うためにマンション管理について勉強したい
というような方にとっては用語までできる限り丁寧に解説します。
つまり、「ターゲットを意識する」ということは、「ターゲットにうまく伝わるように思いやりながら書く」ということにもなります。
考えてみれば当然のことなのですが、すべてにおいてこの感覚が基本であり、WEBライターとしてうまく文章を書くコツでもあります。
そして、WEBライターが取り組む仕事にもいろいろな名前やジャンルがあります。
SEOを意識したWEBライティングはもちろん、商品やサービスの魅力を伝えるセールスライティングなどなどですが、これらすべてにおいて
「ターゲットのことを思いやる気持ち」
を大切にするだけで文章レベルは確実に向上します。
SEOやWEBマーケティング業界に不慣れな人はあまり目にすることがない横文字や略語が登場するとか、一般的だとは言えない難読漢字や熟語を使う場合には、要注意です。
- 本当にその言葉を使う必要があるのか
- 使うのであれば、どの程度説明を加えるべきなのか
- 他の平易な表現で言い換えることはどうか
といったことは、ターゲットを想定した文章を書く時には常に意識の底に置いています。
簡単な例で言えば、WEBライティングやマーケティングについて詳しくない方に、
「SEO意識でライティングしてアナリティクスでコンバージョンを計測してPPCとかアフィリエイトもウェビナーもバッチリetc…!!」
というような文章をぶつけるのはナンセンスだということです。
コツ②:文章の構成についてしっかり考える
文章を書く上で、構成を考えるというのは非常に大切なことです。
クラウドソーシングのサイトなどからWEBライティングのご依頼を頂戴する際、構成があらかじめ与えられている場合や、こちらから企画案として構成を提出するというような場合もあります。
タイトルや見出しがSEO的な観点からすでに練り上げられていることも珍しくありません。
そして、やはり構成がしっかりしていなければ、文章を通して何を伝えたいのかがよくわからなくなってしまいます。
書き出しから始まって、最後の結論やまとめの段落に向かってしっかりと一本の筋が出来上がっていることが理想です。
また、翻訳や日本語の書き方について学んでいたとき、日本語と英語には、1文、1段落単位で構成に大きな違いがあるということを知りました。
日本語と英語では、実は英語の方がわかりやすい構造である
上図は、日本語と英語における文の構造を視覚的に把握するための図です。
(「S,V,O」というのは、それぞれ順番に「主語,動詞,目的語」です。)
「私は文章力を向上させたいです。」
という日本語に対して、
「I want to improve my writing skills.」
という英訳をあてています。
この英文は第三文型という型で、「S,V,O」という順番に並んでいます。
しかし、この原文としての日本語は、「S,O,V」という順番です。
このように、日本語はSとVの間にいろいろな語句が入る形がかなり多いです。
というよりは、主語と動詞(述語)が分かれやすく、動詞が1文の最後に回されることがほとんどです。
(しかも主語が省略されることもあります。)
逆に、英語ではSとVが近くに、かつ明確に存在していることがほとんどです。
いろいろな装飾語を挟みたいときは、形式目的語などいろいろなテクニックを使って後ろに持っていきます。
それはどんな影響をもたらすのでしょうか。
一言で言うならば、
「文の前半部分を読んだだけでも、文の大まかな意味がつかみやすい」
ということになります。
長文の構成は、できるだけ英語的な”トップダウン構造”を意識する
日本語よりも英語の方が、意味をとらえやすいというのは、短文に限った話ではありません。
基本的にビジネスシーンにおける長文や説明文については、”トップダウン“構造を意識することがおすすめです。
起承転結というよりも、
「言いたいこと(スタートライン)から、結論(ゴール)まで、一直線に降りていく」
ことが大切だと考えます。
スタートラインが明確で、そこからゴールに至るまで、理由や裏付けを重ねながら降りていく。
これをトップダウン構造と呼びます。
下図は、日本語と英語における長文の構成に関するイメージ図です。
左側のらせん状になっているものが日本語で、右側のまっすぐ降りる矢印が並んでいるものが英語の長文構造です。
日本語の構造は、グルグルといろいろなところを遠回りしながら、1本道で最終的な結論に落とし込んでいくようなイメージです。
一方、英語では最初に一番まとまった結論が述べられて、その補足や説明が援護しにくる、というような構造が多くなっています。
どちらもトップダウンではあるのですが、英語の方が文章の内容や主張の理由がスムーズに入ってきやすくなります。
たとえば、
「先日の会議で議題に上った件について、皆様からたくさんのご意見を頂戴しました。 私なりに再検討した結果、その貴重なご意見を尊重し、また大いに参考にさせていただくべきものだと認識しました。 様々なデータを振り返りながら私も●●を再検討しました結果、◆◆から、より伝わりやすいという理由で▲▲に変更したいと考えております。」
|
というメールがあるとします。
これを英語の構造的な文章に書き換えるとすれば、
「私は●●を▲▲に変更したいと考えております。 以下はその理由です。 先日の会議で頂戴した皆様からの貴重なご意見は、そのどれもが非常に参考になるものでした。 また、様々なデータを振り返った結果、今回の●●については ”◆◆よりも▲▲にした方がより伝わりやすい” という結論になりました。」 |
となります。
スタートラインで明確な意思表示があり、その理由を述べながらゴールまで降りていくイメージです。
青い太字が結論で、赤い太字が理由部分に関する記述です。
視覚的にも明らかに構造が違うことが見て取れます。
この例はそれほど長文ではないため、理由についての記述は少ないです。
しかし、たくさんの理由やデータを例示する必要があるときには、
「これには3つの理由があります。」
とあらかじめ明言し、理由ごとに段落を変えて書くことをおすすめします。
書き手も構造を把握しやすいですし、読み手にとっては内容的にも視覚的にもわかりやすい文章にすることができます。
また、WEBライティング的な観点でいくと、先に各見出しをh2~h4タグ程度までで作ることが多く、構成を視覚的に把握しやすいという点があります。
※wordやGoogle ドキュメントでも見出し機能はあります
そして、私がよくご依頼を受けている例からしても、
- h2:大見出し
- h3:小見出し
- h4:あまり使わないでほしいけれど、小見出しを更に分けるときに使う
という形が多いです。
大きくh2でトップダウン構造を作り、間にh3やh4を挟んで説明を加えていくということです。
編集プロダクション様などから構成について指示を受ける場合は大体がこのパターンです。
つまり、このような構造が
「SEO的にも良いとされている≒検索結果で上位に表示されやすくなる
ということでもあります。
WEBライターとして、英語的なトップダウン構造の文章をマスターすることが有効だということの好例です。
しかもビジネス文章を書く時にも共通して有効なわけですから、是非この機に英語的文章を意識するようにしてみてください。
時には書きながら考えることもある
ただ、私の場合はあまり厳密に構成を考えない場合もあります。
それでも「見出しや段落の順番について明確に定めていない」という程度の状態で、ターゲットや文章のゴールだけは準備しています。
そして、そのゴールのためにはどんな素材が必要か、ということにて検討がついているならば、その段階で書き始めてみます。
それを大まかにでも書いていくうちに、構成が自然と決まっていくというイメージです。
「この段落はこの見出しに入れるより、あとの段落に持っていこう」
「この話の流れだと、見出しの順番を入れ替えたほうがいいな」
というように整理されていきます。
これは、悩み事を誰かに打ち明けることで、自分の脳内で整理されてスッキリする、というのに似ているかもしれません。
言葉を使って書き記すということは、他者に情報や思想を伝えるというだけでなく、自分の内面を整えるという成果ももたらしてくれるということです。
かの文豪、谷崎潤一郎が日本語文章の書き方について記した『文章読本』という作品にも、こんなことが書いてあります。
・「されば言語は思想を伝達する機関であると同時に、思想に一つの形態を備える、まとまりをつける、という働きを持っております」(p.12) ・「文章の要は何かと言えば、自分の心の中にあること、自分の言いたいと思うことを、できるだけその通りに、かつ明瞭に伝えることにあるのでありまして、手紙を書くにも小説を書くにも、別段それ以外の書きようはありません。」(p.14) |
※引用ページは上記の電子書籍版【復刻版】谷崎潤一郎全集第21巻-「文章読本/現代口語文の欠点について/青春物語」 (響林社文庫)に準拠しており、常用漢字に打ち換えています
本書では、他にも英語と日本語の文法的な特性ついて詳しく解説していたり、”品格”や”含蓄”について考察していたりと、非常に興味深いテーマが多く取り扱われています。
谷崎潤一郎が講演しているかのような口語体で書かれているというのも頭に入りやすく(このあたりもテーマのひとつになっています)、読み物としても非常に面白い作品なので、是非一度読んでみてください。
※またの機会に本書についての記事を1つ書きたいと考えています。
コツ③:文章に説得力を持たせる
WEBライターであろうとなかろうと、自分の書いた文章に説得力を持たせるということは、非常に重要です。
- ~だと言われています。
- ~のようです。
- ~かも知れません。
というような表現は要注意です。
もちろん、このような表現が本当に必要なときは使うべきです。
ただ、曖昧にぼやけた表現が多数登場してしまっていては、その文章はもちろん、書いた人物の信用にも関わります。
断言したくない気持ちがあるとか、なんとなく使う場合には、是非一度立ち止まって考えてみてください。
逆に、あまり根拠が示されないままに
・これは確実です。
・絶対に効果があります。
というような表現も要注意です。
セールスや検索結果の順位を意識するあまり、強烈に商品をプッシュしたくなることあると思います。
しかし、強く断言しすぎて乱暴な文章になってはいけません。
あくまで個人の意見であることを述べる場合も同様です。
時には引用も活用しましょう
先ほど私は、谷崎潤一郎の著作「文章読本」から1文を引用しました。
これは、自分の意見に説得力を持たせるため、
「こんな権威のある人も著作の中でこう言っているんだ」
という、いわば根拠のようなものにするために拝借したということになります。
“単に個人で好き勝手に言っているだけではなく、エビデンス(証拠・根拠)を示した”
とも言えます。
このように何か著作から引用するとか、統計データを引用すれば、それだけで説得力を増大させることができます。
法律の条文であるとか、何らかの説明書やマニュアルだとか、わかりやすく説明するためには引用はとても大事なテクニックになります。
コツ④:人に読んでもらう
文章力を鍛えるコツとして一番速効性が高いコツは、実はこの
「人に読んでもらう」
ということです。
やはり、文章は人に伝えるべきものなのですから、人に読んでもらわなければ意味がありません。
そのため実際に他人に自分の書いた文章を読んでもらうということが非常に有意義になります。
第三者によるフラットな目線をもらうということです。
そして、作文の先生に見てもらうように添削やしっかりと意見を付してもらうことができれば理想的です。
残念ながら、文章を書く時には、自分がわかりやすいと思っても、他人が読むとそうではないということはよく起こり得ます。
そういったポイントに関して指摘をもらい、頭を悩ませて改善することが、文章力を飛躍的に高めてくれます。
ただし、この「人に読んでもらう」という方法には、ひとつの問題点があります。
専門的な知識を論じる記事などの場合は、ある程度読む側に下地となる知識が必要になるという点です。
とはいえ、学術的な論文や、ハイレベルな専門家同士のやりとりというようなものでなければ、
「なんだかよくわからない」
という意見をもらえるだけでもしめたものです。
そして、「何がよくわからないのか」ということに向き合い、できる限りの改善を図ります。
自分でも曖昧なまま書いているとか、文章の流れがブレすぎているとか、きっと何らかの原因がそこに隠れています。
それを見つけてもらうためにも、人に読んでもらうということは非常に有効なのです。
逆に、他人の書いた文章を読んで、
「何をどう改善すれば、もっとよくなるのだろう?」
という目線で考えるというのも非常に有効です。
「この構成だと、うまく頭に入ってこないなぁ。」
「この部分は矛盾しているんじゃないかなぁ?」
という風に考え、そしてできるならばそれを筆者に伝える。
お互いに考えて改善しようとする取り組みを続けるだけで、自然と文章力は鍛えられていきます。
「万人にとってベストな文章」は存在しない?
こうしてトライ&エラーを重ねて、文章をより良い形にシェイプアップさせていくことはとても大切です。
しかし、実は「万人にとってベストな文章」というものを生み出すことは、残念ながら不可能だと私は考えています。
たとえばマーケティングにおいて、先述したように「老若男女問わず、あらゆるすべての人」というものをターゲットにして、しっかり効果のある広告を作成することは至難の業です。
やるべきこと&やらないことを決め、適切な宣伝方法を選択することが大切なのに、あまりにも幅広いターゲットを想定することは、どうしてもすべてがぼんやりと曖昧なものになってしまいます。
それは文章を書く場合にも同じことが言えます。
全員に伝わりやすく、わかりやすい文章を目指すことが理想であるのはよくわかりますが、読み手の知識には差があります。
加えて、
- 漢字が多い or 少ない方が読みやすい
- 書き言葉 or 話し言葉の方が好みだ
というような、相反する要素もすべて網羅した完璧な文章を生み出すことは、少なくとも私には不可能です。
では、どのようにして、そしてどこまで文章のクオリティを高めていけばよいのか、というところが気になります。
そこについては、私は
「自分がきっちり説明できる」
「視覚的に読みやすい」
というところを目指すことが良い、と私は考えています。
例えば、第三者に読んでもらったとき、
「ここがちょっとわかりづらいんだけど、どういう意味?」
「これはどんな意図でこういう書き方になっているの?」
という疑問に対して、しっかりと返答・説明できるならば、それはもうすでに良い文章に自然と改善されているはずです。
※特に、ブラウザで見た場合に読みやすいかどうかというのは、WEBライターにとってかなり気にするべき事項になります。
なぜなら、パッと見て「読みづらい文章だな」と思われてしまったらすぐに違うページに移動(サイトから離脱)されてしまいます。
Googleアナリティクスなどにおいて、離脱率はサイト改善において非常に重要な指標となります。
当然離脱されることが少ないほうが、サイトの集客力は高いと言えるからです。
コツ⑤:時間を置いて自分で読み返す
最後のコツは、自分が書いた文章について、「いったん時間を置いて(気分を変えて)読み返す」ということです。
たとえば日々のメールやLINEのやりとりで、後日自分の書いた文章を読み返す機会があったとき、
「こう書けばもっとわかりやすく伝わったのになぁ」
「変な書き間違いをしているなぁ」
と感じたことはありませんか。
これはもう、私の経験上どうやっても避けることができないミスです。
1文単位では逐一しっかり確認して書いていても、長い文章では全体の流れにしっかりと目を通しながら書くということは至難の業です。
逆に、集中力が高まっているときは、1文ずつのような枝葉に気を配っていては筆が乗らなくなります。
むしろ伝えたいことをしっかり書いていけるように集中するほうが効率が良い。
ただ、そこで
- 本当にこの文章で伝えたいことが伝わるのか
- 構成と文章がしっかりと噛み合っているのか
ということを意識しながら、しっかり読み返すという行為が絶対に必要になります。
そして、読み返す際に大切になるのが、「時間をおいて」というところです。
時間を置くのは、自分が第三者的な目線を担当しながら自分の文章を読むためです。
しっかりと第三者的な目線で自分の文章を読み返すには、やはり時間を置くことが効果的です。
ここで大切なのは、〇時間や〇〇分といった具体的な時間ではないということです。
「もう書き終わったし、注意しながら書いたからこれで大丈夫だろう」
という気持ちを排除できれば、数分でもかまいません。
※私の経験上は、一晩ほどの時間をおけば、有意義な読み返しができることが多いです。
睡眠や他の用事など、間に時間的にも行動的にも何かを挟むということが効果的だと感じます。
兼業でWEBライターとして活動する場合には、どうしても時間のやりくりがうまくいかず、納期ギリギリで書き上げてしまわなければならないこともあります。
しかし、そんな状態で作成した記事は、あとあと読み返してみると、自分でも「イマイチな記事だなぁ…」と思うようなものになってしまっている恐れがあります。
「ここを少し直してもらえますか?」
「ここはどういう意味ですか?」
とフィードバックをもらえるならばまだ良いのですが、場合によっては
「このWEBライターはあまりクオリティが高くないな…次からは依頼しないでおこう」
という風にすぐに決まってしまうことも残念ながら珍しくありません。
厳しいようですが、これは依頼する側からすれば当然の権利です。
そのため、やはり私はWEBライターにとって「時間を置いて自分で読み返す」だけの余裕があるスケジューリングが非常に大切なのだと考えています。
まとめ
ライターズ・ネスト代表WEBライターによる「文章上達についての5つのコツ」は、以下の通りです。
① | ターゲットを明確に定める |
|
② | 構成についてしっかり考える |
|
③ | 説得力を持たせる |
|
④ | 人に読んでもらう |
|
⑤ | 時間を置いて読み返す |
|
2020年4月より、ライターズ・ネストではオンラインミーティングを定期的に開催し、各WEBライターの書いた文章を添削する研修会のようなものを行っています。
今回紹介した以外にも、大小さまざまなコツがあり、それらを駆使しながら文章力を向上させようと努めています。
各WEBライターの持つ専門性をしっかり活かせるよう、文章力を日々高めていくことは、我々WEBライターチームにとって必要不可欠なことです。
ところが、新型コロナウイルスの影響で在宅ワークや外出自粛という流れが浸透し、全国的にWEBライターの数が増えています。
そして、クラウドソーシングのサイトなどを経由して、SEOライティングの依頼を受けているという方が多いことと推測されます。
しかし、「文章の書き方」などを調べても、「いかに検索順位を上げるか」という手法がヒットするばかり。
そうして身に着けたSEOライティングに関する方法論だけを頼りに、”何とか書きなぐっている”という印象を受ける文章が量産されていることもまた事実です。
確かに検索結果で上位に表示されるということは、クライアントにとって非常に大切です。
とはいえ、方法論先行で検索結果上位にランクインできたとしても、肝心の文章が有用でなければ、顧客や読み手と優良な関係を築くことは難しくなります。
※このあたりのことは、「インバウンドマーケティング」をテーマに当サイトで執筆した記事がありますので、またよろしければご一読ください。
インバウンドマーケティングのすすめ|メディア作成はおまかせ下さい
ちなみに、先ほど紹介した『文章読本』を、谷崎潤一郎はいろいろな論のあとにこう締めくくっています。
「こう言うことは、およそ筆をとるほどの人がみんなで気を揃えてくれなければ、私一人が突如として異を立ててみても一向実効のないことである。 恐らく世間には私と同様の意見を持ちながら、仕方なしに大勢に引きずられている人が多いであろう。 何とかならないものであろうか。」(p.184) |
私は、私が紹介してきた文章力向上のためのコツたちが、少しでも文章の書き方について考える方々のもとに届けばいいなと思います。
そして、文章力を本質的に向上させることに向き合う方が増えてほしいと思います。
WEBライターだけに限らず、欲を言うならばビジネス的な文章を書く必要のある方すべてに向き合っていただきたいというのが本音です。
「WEBライターなんて誰でも気軽になれるものなのだから、そんな面倒なことは抜きにしたい!」
と考えるのも自然なことだとは思います。
確かに、文章を書くにあたって必要になる技法については、いろいろな書籍を読んで、研究や練習を積み重ねる必要があります。
そこには多大な時間と労力が必要になります。
しかし、今回紹介してきたコツをもとに、意識を変えることはすぐにできます。
私は、現役&独学で実際に仕事をこなしているWEBライターとして、非常に効率よく文章力をアップさせるコツをこの記事で紹介しています。
まずは取り組みやすいコツを選んで、意識を変えることから取り組んでみてはいかがでしょうか。