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漫画・古屋兎丸氏『インノサン少年十字軍』は実話?十字軍の魅力!
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漫画・古屋兎丸氏『インノサン少年十字軍』は実話?十字軍の魅力!

コラム 前田健太

WEBライターの前田です。ライターズ・ネストのサイト上では、WEBライターとしてはエンタメ業界やミュージシャンとしての立場を活かした記事を執筆していますが、世界史への愛着を強く持っており、世界史の塾講師などの経験もあります。

さて、菅田将暉さん主演で映画された『帝一の國』、舞台化などもされサブカル的な人気を誇る『ライチ光クラブ』などを描いている、古屋兎丸さんという漫画家をご存じでしょうか。

今話題沸騰中の古屋兎丸さんが、2008年に連載開始した漫画『インノサン少年十字軍』を紹介するとともに、物語の主題である「十字軍」の魅力についても解説していきたいと思います。

 

十字軍について入試でも出題されることがあります。十字軍についてというよりも、その前後でのキリスト教世界の様子を説明するという問題が京都大学の入試でも出題されていました。

十字軍について入試のために勉強しようとしている方、そして当時のキリスト教世界の様子を知りたい方にも読んでいただきたいと思います。

 

また、十字軍についての知識をただ書き連ねただけではあまり面白みがないので、

  • 何故今WEBライター&ミュージシャンとして活躍している僕が十字軍に興味を持ったのか
  • 十字軍のどういうところが面白いのか
  • 十字軍ってそもそもいい奴らなのか悪い奴らなのか

という視点なども織り交ぜながら書いていきたいと思います。

 

※挿絵やこの記事の内容に兎丸先生は一切関わっておりません。



まずは十字軍をざっくり解説!

「中世のヨーロッパ」という言葉でまず思い浮かぶ様な「剣」や「甲冑」「お城」や「お姫様」の時代のお話です。

ヨーロッパから小アジアにかけて、主に二つの宗教が多きな力を持っていました。

一つは「キリスト教」です。皆さんもご存じのイエス・キリストを救世主と信じる人たちの宗教で、主に当時のヨーロッパ方面で支持されていました。

もう一つは「イスラム教」です。主に小アジア・中東圏で支持されている宗教で、唯一神アッラーとその予言者ムハンマドの書いたコーラン(預言書)を信じる人々です。

 

実はこの二つの宗教は、元を辿ると呼び方が違うだけで、実は同じ神様を信仰しているのです。

そんなキリスト教とイスラム教にとっての、「聖地」がまさか被ってしまうというのも運命のいたずらでした。

エルサレムという、現在はイスラエルという国の都市で、歴史的に最古の都市のひとつと言われている街があります。

このエルサレムは、キリスト教にとっては「イエス・キリストが処刑された場所」です。有名な『最後の晩餐』という絵がありますが、あの晩餐はエルサレムで開かれたもので、キリスト教徒にとっては聖地そのものです。

また、イスラム教にとってエルサレムは「預言者ムハンマドが昇天してアッラーから啓示を受けた場所」でもあり、イスラム教徒にとっても、大切な場所のひとつです。

エルサレムという都市は、キリスト教・イスラム教の両宗教の信者が聖地として巡礼したい場所の一つとなっているのです。

 

さて、1096年の時点ではイスラエルのあたりはイスラムの王朝であるセルジューク朝という国が治めており、とても平和でした。

しかしキリスト教徒にとって聖地を他の宗教に居座られているのでは、これほどまでに面白くないことはありません。「聖地奪還」を掲げて十字軍という軍隊の結成を、周辺の諸侯たちに呼びかけます。

ここから聖地エルサレムを奪還したり、またされ返したりの攻防の長い歴史が始まったのです。

実在した少年十字軍


古屋兎丸先生の『インノサン少年十字軍』はまさに、この十字軍という歴史的事件の大きな流れの中で発生した、少年たちが結成した十字軍という実在したものを題材にして描かれています。

エティエンヌという少年が神の啓示を受け、少年少女だけで構成された十字軍を率いて聖地奪還を目指します。

まだ穢れを知らない子供たちだからこそ、本当に神のご加護を受け大人たちでは成しえないような奇跡を起こしてくれる、という期待をかけられながら聖地を目指して旅立ちました。

『ハーメルンの笛吹き男』というドイツの民話がありますが、この少年十字軍が結成されたことによって街から子供がいなくなったという現象を、この様な物語にしたという説もあります。

しかし少年十字軍は、やはり年端も行かない子供たちだったので旅のノウハウや資金の管理もろくにできません。

船が必要となったため商人に交渉して乗せてもらったものの、その行き先は聖地などではなくエジプトで、そのまま奴隷として売り飛ばされてしまったと言われています。

『インノサン少年十字軍』では、そのまま史実を描いたわけではなく様々な脚色ももちろんあります。しかし、大本は「エティエンヌの率いた少年十字軍」という歴史上実在した事件をモデルとしています。

当時のヨーロッパを象徴するキャラクターたち

『インノサン少年十字軍』には、古屋兎丸先生のオリジナルですが、当時のヨーロッパの生活や人々の思想を反映させたキャラクターが多数登場します。

エティエンヌ

羊飼いの子で、物腰が柔らかく争いを好まない純朴な少年です。仕事柄、風や雲の流れから天気を予想するのが得意で、周囲からも信頼されています。

この少年は実在した少年十字軍のリーダーのエティエンヌをモデルにしており、神を信仰しているながらも人々が争うことは求めず、異教徒や娼婦にも平等に接することができる優しい心の持ち主です。

ニコラ

エティエンヌの親友で活力旺盛な少年で、自身も英雄になることを望んでおり、テンプル騎士団のユーゴに憧れ兄として慕うようになります。

一方で異教徒は悪であり人間ではなく魔物の様な存在であると強く信じており、そのせいでエティエンヌや周囲と衝突することもあります。エティエンヌを最も近い位置で守る十字軍の総隊長を担います。

クリスチャン

商人の子に生まれ、子供の識字率も高くない中で唯一文字が読める少年です。また、東洋の科学や医学のことについて書かれた本を大事に持っており、神を信じる一方で科学の力を強く信じています。

また、性同一性障害でありエティエンヌに同性愛を求めていました。しかし、当時のキリスト教社会ではこういった特殊な性癖を罪とし、悪魔憑きの類であると認定することが多かったためずっと周囲に隠していました。

レミー

体中を包帯でぐるぐるに巻いており、常に杖をつきながら歩くか弱い少年です。実は数年前までは村一番の美しい顔を持った子だと言われていたにも関わらず、ハンセン病にかかってしまっており皮膚はボロボロになり周囲からも隔離されていました。

ハンセン病は現代では治療できるようになりましたが、当時では感染力はとても弱いとは言え人から人に感染するものとして大変恐れられていました。作中でも触れられていますが、感染を防ぐために外を出歩くとき、ハンセン病患者は周囲に知らせるため鈴をつけていないといけなかったそうです。

聖地エルサレムは病気を治すことも出来る楽園であるという言葉を信じ、レミーも参加を希望しました。共に旅をすると周りに感染するからと反対した仲間たちの前で、エティエンヌはレミーを抱きしめて見せ同行することとなりました。

ロランとリリアン

双子の存在もまた当時のヨーロッパでは現代とは違う考え方をされていました。双生児であるということは、母親が夫とそれ以外の男ともまぐわった証明とされており、不貞の象徴でした。

周囲からの偏見に耐えられなくなった母親は自殺してしまっており、自殺した者は天国には行けないと信じる兄弟は母親を天国へ送る方法を求めて聖地へ向かいます。

ギー

エティエンヌたちの町を襲った盗賊団の一人で、エティエンヌに救われたことから聖地へ同行することとなります。メンバーの中で最も戦闘の経験を持ち、命令に従順で仲間から信頼される一方で、規律を破った仲間のギヨームを容赦なく切り捨てようとする冷酷な性格から恐れられる存在でもあります。

テンプル騎士団の保護がなくなり条件の厳しい旅になったとき、ニコラに命じられ離団しようとする子供たちを監視するなど、常にエティエンヌやニコラの懐刀として働いていました。

ユーゴ

巡礼者を守るために結成されたテンプル騎士団の団長として、少年十字軍の行く先々で様々なサポートをしてくれます。しかしその実態はエティエンヌが起こす奇跡をあちこちで利用する金の亡者でした。

テンプル騎士団とは、洗礼を受けた騎士団で教会直属の武装勢力でした。神のご加護を受けた上で武力を持って人助けをするという存在で、しかも異教徒であるイスラム教徒たちに危害を加えるわけでもなく時には盗賊から守るなど、各地で人気のある組織でした。

また、作中でも解説されますが、巡礼者の荷物を預かり、その手間賃を取るという現代で言うところの銀行の業務も行っていました。そのため、テンプル騎士団の財産は相当なものになっていたと言われており、中には利益を求めるあまりユーゴの様に腐敗した者もいたのかも知れません。

コレット

ユーゴたちの元を離れた少年十字軍が出会った女性説教師で、行き場のない少年十字軍をかくまってくれる心強い味方です。

クリスチャンに「ワルド派」と呼ばれている描写がありますが、ワルド派とは「清貧」を謳ったキリスト教の宗派の一つです。「教皇は神の代理人である」と主張することや「免罪符を購入することで罪が赦される」など、自分たちに都合の良いルールを勝手に作っていく教会のやり方に異を唱え、後のルターの宗教改革にも影響を及ぼした宗派でした。

実際に「免罪符」というものが売り出されたのは17世紀になってからなので十字軍の時代にはありませんでしたが、十字軍として参加したものに与えられる「贖宥状」が当時の免罪符のようなものでした。

そう言った教会の拝金主義的なやり方に反発していましたが、多くのワルド派信者は異端者として処刑されてしまいました。

様々な思惑の渦巻く十字軍

十字軍には様々な見方があることが何よりの魅力です。誰がどのような目的で十字軍に参加したのか、誰が得して誰が損をしたのかを考えることで、十字軍とは何だったのかということを想像することができます。

入試の勉強においても、十字軍を取り巻いたキリスト教世界の様子を記述するように求められるような問題が繰り返し出ていますので、ここを理解しておくことで十字軍への理解が深まると思います。

十字軍の発起人、教皇の思惑

当時のヨーロッパでは、「教皇」が偉いのか「皇帝」が偉いのかということで対立していました。

当時の教会という立場は、税金を納める必要がない上に「十分の一税」を徴収できるという、まさに金の成る木でした。新しく教会を建てて、司祭を指名するという権利を「聖職叙任権」と言いますが、教皇と皇帝は大金が絡むこの権利を取り合っていました。

皇帝は武力があるので圧倒的に優位だと思われますが、教会は皇帝を破門にすることもでき、破門されてしまった皇帝は民からの信用を完全に失ってしまいます。このような目に見えない拮抗した権力争いが長年に渡って繰り広げられていたのです。

世界史用語で「カノッサの屈辱」という言葉を聞いたことがあるかも知れませんが、これはまさに皇帝が教皇から破門されてしまったため、三日三晩雪の中で謝り続けたという話です。

これに腹を立てた皇帝はあらゆる根回しをした結果、仕返しにその教皇を追放するなど、教皇と皇帝の戦いは熾烈を極めていました。この一連の流れを「叙任権闘争」と言います。

皇帝に優位に立たれている状況を打破しようとしたウルバヌス2世という教皇は、1096年に初めて十字軍を提案します。

「十字軍に参加すれば借金が帳消しになる」「十字軍に参加すれば罪が赦される」「十字軍として戦い死んでも天国に行ける」という言葉に人々は湧き立ち教皇の支持率は急上昇しました。

教皇が本当に取り返したかったのは聖地などではなく、叙任権であり、十字軍の提唱により見事皇帝よりも優位に立つこととなりました。

領土拡大を目指す国王・諸侯の思惑

当時のヨーロッパでは様々な国のもとに諸侯が群雄割拠する状態でした。

もちろん国や諸侯が十字軍に参加するにあたって考えることは領土拡大です。教会が十字軍を提唱したことで、東方へ領土を拡大することは「神の御意志である」という大義名分を得たことで、簡単に兵士が集まり税収も増えました。

国は諸侯へ十字軍に参加して出兵することを要請します。もしこの諸侯が見事な戦果を得て帰ってきたならそれはそれで良しですが、仮に戦死した場合、その空いてしまった領土は国が回収するので、それもまた良しだったのです。

そして、この戦いで名を上げようと目論む者たちによって十字軍が組織されましたが、各地の長である者たち同士が協力的であるわけはなく、第一回十字軍に関してはあまりまとまりのないものでした。

東方貿易の拡大を目指す商人の思惑

商人は良くも悪くも利己的で、名誉や信仰にはあまり左右されない存在です。

十字軍が出兵するとなれば当然武器や船渡し賃などで儲かります。そして東方へついて行くと東方での商売がもっと拡大するかも知れません。

そういった中で十字軍と共にあちこちで暗躍した商人ですが、第4回十字軍で事件が起こります。

船渡しをしているヴェネツィアの商人から、「商売敵であるコンスタンティノープルを襲ってくれ」と頼まれます。もちろん、同じキリスト教圏の都市であるコンスタンティノープルを十字軍が襲う意味など全くありません。

にも関わらず、商人と結託してしまった十字軍はコンスタンティノープルを陥落させ、新しい国を建ててしまいます。

上で紹介した少年十字軍をエジプトに送り奴隷にするという件も含めて、なかなか商人らしい鬼畜エピソードと言えます。

聖戦に参加し世を捨てる民衆の思惑

実は第1回十字軍よりも前に、隠者ピエールという者を先頭に「民衆十字軍」という団体が聖地へ向けて出発しました。

当時のヨーロッパは、農耕技術の発達により人口が爆発的に増えていたと言います。もちろんそれだけに貧富の差もまた拡大し、奴隷となる者、家もなく彷徨う者、物乞いをする者などで溢れていました。

このままヨーロッパにとどまるよりも、半ばやけくその様な状態で国を捨てた物乞いや老人などが、隠者ピエールという奇人に連れられて聖地を目指しました。

しかしほとんどの参加者は武力もなく資金もなかったので、途中で盗賊に襲われたり病気や飢餓で行き倒れ、壊滅してしまいました。

ただし、皆を扇動した隠者ピエールだけは生きながらえ、何故かその後正規の第1回十字軍と合流したそうです。

十字軍の顛末

第1回十字軍ではなんとエルサレムを占拠、そのままエルサレム王国を建ててしまうという見事な功績を果たしました。

しかし、イスラム側もただ突然の襲撃に面食らっただけでもあり、奪われたエルサレムをあっさりと取り返してしまいます。

第2回十字軍は特に何事もなく失敗。

第3回はイギリスの獅子心王リチャードや赤髭王フリードリヒ2世など名だたる人たちが参加しましたが、イスラム側のサラディンという英雄相手に手も足も出ず、休戦協定。

第4回は前述したとおり商人に利用されて関係ない都市を襲う始末。

その後第9回十字軍まで特筆するような戦果は上げられず、約200年に及んだ十字軍遠征は終わり、現在はエルサレムは一応イスラエルという国の一部となっています。

十字軍の失敗から叙任権闘争における教皇の立場は衰退、現代になった2001年にはローマ教皇により「十字軍による虐殺があった」として正式に周辺諸国への謝罪が表明されています。

『インノサン少年十字軍』から学ぶこと

「大義名分」を理解できない少年たち

結局、少年十字軍は聖地までたどり着くことはできませんでした。

少年たちは教会の教えの通り「信仰」し、「聖地を奪還」することが目的であり自分たちのアイデンティティでした。どんなに辛いことがあっても神様は見てくれていて、祈りを捧げることできっと良くなっていく。そう信じて旅を続けます。

しかし、十字軍の大義名分として掲げられている「信仰」や「聖地奪還」を目的としている人間は、上にも挙げたように、この少年たちを除いて周囲に誰もいなかったのです。

教会や国、商人など、それぞれがそれぞれの思惑を持っていました。

「聖地奪還」などと掲げていますが、それぞれが金や名誉や権威のために発生した十字軍なので、本当にキリスト教を信仰するという立場から聖地を奪還しようとする者はいなかったのではないのでしょうか。

そんな大人たちに翻弄され、大義名分という「建て前」を理解できないピュアな子供たちにとって十字軍を組織することは、とても乗り越えられるような試練ではなかったのだと思います。

少年ならではの人間関係-アンリというキャラクター-

この『インノサン少年十字軍』においても、冒険の始まりは希望に満ち溢れ、少年たちは「家のお手伝いをしなくてもいいんだ!毎日友達と遊びながら冒険ができるぞ!」という気持ちで旅立ちます。

しかし、途中でリーダーたちに賛同できず反抗する者、泣きべそをかいて逃げ出す者、更には盗賊の襲撃によって死亡する者も現れます。

そんな中で、アンリという少年は戦いから逃げてばかりで隊長のニコラから突き放されてしまいます。アンリは、元々エティエンヌやニコラと仲が良いからついてきただけの心優しい少年で、剣など振ったこともありません。

それでもなんとかニコラの信頼を取り戻したいアンリは、脱走しようとする仲間を見張る役割を申し出ます。

アンリが見張りをしているときにとある脱走者が現れます。それはハンセン病のレミーと、少年十字軍の初期メンバーのマルクという少年でした。マルクはレミーの病気の悪化が限界なのでユーゴのところへ行ってスッカル(砂糖:当時は薬だと信じられていた)をもらいに行こうとします。

しかしこれを見逃してしまってはアンリの立場はありません。脱走者を見逃したとしてニコラから更に突き放され罰を受ける可能性もあります。

混乱したアンリはマルクを後ろから剣で一刺しにしてしまいます。血を流して苦しむマルクを見てふと我に返り、

「ごめんごめんごめん!神様、今のなしで!時間を戻して!」

と祈りますが、虚しくマルクは死んでしまいます。

誰も救われない悲しいシーンですが、子供たちの行動の動機とは常にこのようなものかもしれません。仲間外れになりたくない、認めて欲しい、いつまでも仲良く一緒にいたい、という子供らしい動機の上に起こってしまった事件で、個人的にとても印象深かったシーンです。

まとめ

それでは最後に、十字軍の魅力をまとめてみましょう。

  • キリスト教とイスラム教の聖地がかぶってしまうという悲劇の上に起こった事件
  • 金と権力に溺れた人たちが「大義名分」を利用し始めた一大ビジネスである十字軍
  • 「聖地奪還」という聞こえは格好いいけど周辺諸国から見ればとんでもない侵略行為
  • 一連の流れの中に発生した「少年十字軍」という嘘の様な本当の話

お気づきかも知れませんが、十字軍は現代人的な目から見るとどちらかというと「悪」です。

『アルスラーン戦記』という小説や漫画がありますが、あれは「イスラム側から見た十字軍との闘い」をモチーフに描かれた物語で、架空の国ではありますがいかにもヨーロッパ風の甲冑や文化を持った国が侵略をしかけてきます。

負けるなアルスラーン!と応援したくなるのと同じように、イスラム側から見れば十字軍は悪魔が突然襲ってきたとんでもない災害としか言いようがありません。

約200年の間に起こった十字軍と言う一つの事柄を取り巻く全てのものに、人間の光と影、深みと浅ましさが全て含まれていると感じ、僕は十字軍の魅力に憑りつかれてしまいました。

入試問題としても出題されやすいのでキリスト教世界の背景と併せてしっかりと理解しておきましょう。

ちなみに、古屋兎丸先生の漫画は『インノサン少年十字軍』のようにシリアスなものばかりではありません。

『帝一の國』や『幻覚ピカソ』などは現代の高校生が活躍する物語ですし、『π-パイ-』は女性の胸にひたすら執着する高校生を描いたギャグ漫画で、気軽に読めるものも多くあります。

その中でもやはり『インノサン少年十字軍』は、歴史的教養としてもジュヴナイル的な読み物としても、とても読みごたえがありおすすめです。


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