コロナで学費が払えない…返さなくていい奨学金(高等教育修学支援新制度)
こんにちは。Writer’s Nest(ライターズ・ネスト)所属WEBライターで、英語講師の濱野です。
新型コロナウイルス感染症は、誰もが予測しない勢いで私たちの生活を一変させました。
経済活動だけにとどまらず、教育現場もまた、大きな影響を受けています。緊急事態宣言が5月31日まで延長されたため、「校舎・キャンパスで学ぶ」という当たり前の日常が戻るのも、もう少し先に待たなくてはなりません。
そのような状況のなかで、「学費が払えない」という学生の悲痛な声を聞くことが多くなりました。
授業はおろか学校内の施設も使えず、アルバイトも激減している。
そんな状況で通常通り学費を支払わなければならないのは、学生やご家族にとって経済的にも心理的にも大きな負担です。
今回は、2020年4月に新たにスタートした「高等教育修学支援新制度」を紹介します。
今回のような予期せぬ事由により家計が急変し、緊急の支援が必要と判断される場合、日本学生支援機構の給付奨学金の支援対象となります。
新型コロナウイルス感染症の影響で家計が急変してしまった方に、ぜひ知っていただきたい制度です。
この災禍にあっても、学生のみなさんが学びを続けられることを願って、今回の記事をお届けします。
高等教育修学支援新制度(2020年4月〜)
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、学費の支払いに不安のある方にぜひ知っていただきたいのが、日本学生支援機構の給付奨学金です。
日本学生支援機構では、緊急事態のために支援が必要となった学生に向けて、返済不要の奨学金が用意されています。
高等教育修学支援新制度とは
高等教育修学支援新制度とは、2020年4月からスタートした学費等支援制度です。
具体的な内容は
- 授業料、入学金の免除・減額
- 給付型奨学金の支給
となっており、今回の新型コロナウイルス感染症の影響で、学費等の支払いが困難となった学生のための支援制度として提示されています。
支援対象者
高等教育修学支援新制度の対象となるのは、
- 住民税非課税世帯・準ずる世帯の学生
とされています。
父母の収入、あるいは自身のアルバイト収入が大きく減った場合に支援対象となる可能性があります。
具体的には、例えば四人世帯の場合、世帯年収が380万円を下回ることが要件となります。
住民税は通常前年所得より算定されてますが、今回のように緊急支援となる場合、急変後の所得(見込み)から基準に適うかどうか判定されます。
数ヶ月分の所得から年間所得(見込み)を推計するため、給与明細や帳簿等が必要です。
年間所得の推計等は、下記の「進学資金シミュレータ」にて行うことができます。給付額・貸与額に加え、そもそも奨学金の対象になるかどうか確認することができますので、学費支援を検討されている方はぜひ一度お試しください。
日本学生支援機構 進学資金シミュレータ https://shogakukin-simulator.jasso.go.jp/
注意点!
注意すべき点は、要件に適うのはあくまで世帯単位での収入減少だということです。
現時点で、個人のアルバイト収入減少のみでは支援対象とならない場合がありますのでご注意ください。
また、学校は給付奨学金の対象校として国または自治体の確認を受けている必要があります。
自身の学校が対象であるかどうかは、文部科学省のホームページで確認することができます。
文部科学省 https://www.mext.go.jp/kyufu/support_tg.htm
申請時期
高等教育修学支援新制度への申請は2020年4月から随時可能です。
急変事由発生後3ヶ月以内という但し書きがあるので、できるだけ速やかに申し込みしておくとよいでしょう。
実際の支援については、認定が終わり次第随時開始されるようです。
支給金額
支給金額は
- 世帯の年間所得(見込み)による支援区分
- 学校の設置者(国公立・私立)
- 通学形態(自宅通学・自宅外通学)
により算出されます。
例えば国公立大学で自宅外通学であれば月額最大66,700円が、私立大学で自宅外通学であれば月額最大75,800円が、原則として毎月振り込まれます。
支給金額は各家庭の状況によって変わります。先ほども紹介した進学資金シミュレータに必要項目を記入すれば、支援金額の目安が算出されますので、まずはこちらをご活用ください。
申請方法
上述の通り、高等教育修学支援新制度への申請はすでにスタートしています。
申請は以下の順序にて手続きすることができます。
- 申込案内などを所属学校から受け取る
- 申込案内を確認しながら必要書類を揃える
- 所属学校に必要書類を提出し、奨学金はインターネットから申し込む
申請にあたり、「自分は支援の対象となるのか」「書類が揃っていない」など、不安が多くあるかもしれません。
しかし、どのような場合でも、支援の必要を感じたら一度所属学校へ相談してみましょう。
全ての学生が、学びを諦めなくていいように
冒頭に書いた通り、新型コロナウイルス感染症は学生にも多大な影響を与えています。そのために厳しい状況に置かれている学生も、残念ながら少なくないでしょう。
しかし、どんな状況であれ、学生が学びを諦めざるを得ないというのは、とても悲しいことです。
教育は人類の権利であり、個人の成長にも、また社会の繁栄にも必要なものです。
ですから、このような災禍とはいえ、学生には学びの火を絶やしてほしくないですし、社会もまたそれを全力で守らなくてはいけません。
現況のために学費等に関して悩まれている方は、ぜひ今回のような制度を活用してもらえればと思います。
今ある制度を最大限活用して、自身の学びを続け、深める。
それは必ず、個人にも、社会にも、プラスの形で返ってくるはずです。
この記事が、苦しい状況を打開するきっかけのひとつになれば幸いです。